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neutron tokyo 1F main gallery + 2F salon Exhibition

三尾 あづち 展 「MY WORLD VIEW」
2010年10月27日(水)~11月14日(日) [ 会期終了 ]

Comment, gallery neutron ISHIBASHI Keigo

ギャラリーニュートロン代表 石橋 圭吾

  岐阜県出身の双子の姉妹、三尾あすかと三尾あづちの二人はこの一年でかなりの人に認知されただろう。一人づつでも際立った表現をするのに、同じDNAで結 ばれた二人がそれぞれの創作を合体させてコラボレーションまで行うのだから、その話題性やインパクトには事欠かない。そればかりか現在25才の彼女達の興 味は美術に限らず、音楽やファッション、読書にグルメ…と、同世代の女の子達のそれと何ら変わりはないからこそ、お洒落な普通の女の子達が筆を握り、自室 を散らかして生み出すアート作品というものの存在が、今の世の中における美術というものに対しての抵抗を取り払い、あるいは全く未知な人達に対しては、そ の楽しさを知らしめるきっかけになる要素を多分に持っていると感じてやまない。二人はアーティストである前に一人の人間であり、若くてたくさんの興味を持 つ女の子であり、仕事で悩んだりする一方、そんな現実世界をバックボーンに見事なファンタジーを想像(創造)し、誰にも真似の出来ない世界を見せてくれ る。発表だけでなくメディア露出も相次いだ今年はまだ終わらず、「芸術の秋」に東京のメインギャラリーで個展を行うのが、妹のあづちである。

  あすかとあづちの制作は似ている様でも全く異なる。あすかがアクリルペイントと刺繍によって☆型のモチーフを浮遊させ、抽象的な精神世界を表現するのに 対し、あづちは絵具だけでなくコラージュやドローイングを織り交ぜた「ミクストメディア」と呼ばれる技法によって、創作上のキャラクターが賑やかに溢れ出 んばかりの平面作品を作り、最近ではまさに画面から飛び出して立体作品まで生み出している。二人の合作(双子のコラボレーション)においは
お互いに色やモチーフを重ね合い、一つの作品に世界観を融合してみせるのだが、それはどちらの特徴も欠けることなく盛り込んだハイパーなオリジナル作品と して存在する点で、往年のロボットアニメの超合金合体すら連想させる。個々の能力と技術、可能性が掘り下げられる一方で、このような合作を定期的に生み出 せるのは奇跡的な事であると言っても良い。

  さて、そのあづちの世界観はまるで子供の頭の中に展開される無邪気でとめどない空想の様に、喜怒哀楽に溢れて騒々しい。出て来るキャラクターはオバケ、 クリーム、さかな、ガイコツ、トランプの兵隊、ユニコーンなど脈絡が無く、現実世界における実物を模した具象的なアイコンとは言えない。むしろこれらの登 場人物(だいたいにおいて擬人化されている)は必要に応じて出番の与えられる、あづちの分身と言っても良い役者達である。ただしその役者の種類と量はハン パではなく、恐ろしいほどに膨大であるのだが…。では作者の分身であるとは一体どう言う事かと言えば、あづちの感情あるいは気持ちを代弁する存在とすれば 分かりやすいだろうか。それぞれの役者はあづちの描こうとする画面において、その時点の感情・気持ちを表すために登場の位置と回数が決まり、賑やかに同種 のものがたくさん登場することもあれば、単一のキャラクターがひっそりと一人佇むこともある。どの役者が具体的に何の気持ちを表すかを限定するよりも、鑑 賞者の自由な解釈に任せる方が楽しみを奪わずに済むだろう。役者達があちこちで演じる寸劇のような画面には、その集合体としてのドラマが見えて来る。決し て単一の印象だけを残さず、悲喜こもごも、爆発する喜びや切ない哀愁が同居するのもまた、これらの作品の魅力である。すなわち人間そのものがそうであるよ うに、私達の住む世界の出来事は一言で言い表せるものは少く、常に複雑な心境の変化と言語化の難しさに左右される。あづちが現実の世界を見て・感じた上で 描くもう一つの世界には、現実のそれと同じく言葉では言い表せない感情・気持ちが蠢いている。圧倒的な画面の密度の中で、その一つ一つの出来事、一人一人 の登場人物に目を凝らせば、次第に全体のドラマや世界観も見えて来るだろう。

  今回の個展で注目すべき点は、立体作品の存在である。この夏のアートフェアで大変な人気を博したそれらは、主に粘土を用いて次々と作られるが、それは自 立した存在でありがながら全体の世界観の一部でもあり、今後の展開次第では更なる「ミクストメディア」(混合技法)の真価(進化)が発揮されるだろう。お 馴染みの壁面ドローイングを含め、縦横無尽の創作スタイルが楽しみでならない。

  最後に、ある一つのキャラクターについて。あづちは「ガイコツ」を良く描くのだが、何故かと聞かれることが多い。一般的に髑髏は怖いイメージだが、あづ ちのそれは私達人間が等しく持つ、骨という物質を示している。皮膚の色や宗教や政治の違いを越えて、人間の骨は万人が等しく同じものを持つという、ピース なメッセージである。

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