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Gallery Exhibition Review

ギャラリー展示レビュー / 開催を終えての再考論評

益村千鶴 展 「Faint light」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年10月28日(水)~11月15日(日) 1F main + 2F salon
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
十一月の空はすっかり陽が落ちるのが早くなり、肌寒くもなり、五時を過ぎればもはや人工照明以外の灯りは月や星以外ない。窓から射し込む光りが次第に弱まっていくのを感じながら、しかしそれらの作品は仄暗い時間を待っていたようにも見受けられた。


中村 裕太 展 「めがねや主人のペンキ塗り」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年10月7日(水)~10月25日(日) 1F main + 2F salon
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
過去の作品を再構成するという今回の試みの暗喩として「ペンキ塗り」という言葉を認識することが可能だが、中村のステイトメントにある「めがねや主人のペンキ塗り」の描写はそもそも、実際に中村が遭遇した光景である。


橋本 佳代子 展 「FACE」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年10月7日(水)~10月25日(日) 3F mini gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
顔にはその沢山の目に加え口があるのみで、眉毛もなければ鼻もなく、耳は髪の毛に隠されている。デフォルメされ、ゆるやかな曲線で描かれる顔の中心に位置する目は、いずれもキラキラとした眼差しをこちらに向けている。


衣川 泰典 展 「未知なものと既知なもの」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年9月16日(水)~10月4日(日) 1F main + 2F salon
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
チラシ、切手、書籍のカバー、写真といったいわゆる印刷物だけではなく、エアーキャップやその他一見しただけではよくわからないものまでを紙やキャンバス上に貼り合わせ、それらのかたちをなぞり、ないしは改変するようにその上からアクリル絵具で描く。


三尾 あづち 展 「Complex world」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年9月16日(水)~10月4日(日) 3F mini gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
作品を見てまず驚くのは、その奔放できらびやかな画面構成だ。実在する生きものに加え「宇宙タコネコ」なるオリジナルキャラクターが登場する一方、ほとんど読み取り難い言葉もまた綴られており混沌とした世界が描き出されている。


伊吹 拓 展 「導音」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年8月26日(水)~9月13日(日) 1F main + 2F salon
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
コットンを下地に油絵具を重ねていく。制作の過程ではその画面を意図的に傾けて地の上に絵具を流れさせる。滑らかな絵具の軌跡の重なりによって醸成された画面は、油絵具のごてごてしたイメージを軽やかに逸脱し、瑞々しい。


池田 孝友 展 「ダルマのカルマ」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年8月26日(水)~9月13日(日) 3F mini gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
描写しようとする対象の輪郭線を鉛筆で描き、その後ゲルインクボールペンを使い数種のパターンと色を組み合わせて作品を制作するが、これまで場所に応じたパターンと色の組み合わせは他との兼ね合いを考えて決定されていた。


西奥 起一 展 「見ための手ざわり」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年8月5日(水)~8月23日(日) 1F main + 2F salon
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
今回出品した作品は、作家の身の回りの事物に手を加えたものがすべてであると言っていい。米ぬか、落ち葉、農具、埃、あるいは畳の下から取り出した床材もまた、農具の場合と同様の趣旨による変形が一部施されている。


行 千草 展 「ダルメシアンは溶けたアイスのほとりに佇む」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年8月5日(水)~8月23日(日) 3F mini gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
動物と食べ物を一つの画面に共存させ、その中では欠陥やおかしなところなどまったくない、それ自体完全に自立しているかのごとき世界を描き上げる。ダルメシアンがディナープレートの上に寝転んだり、フラミンゴがマカロンを突ついていたりする。


中比 良真子 展 「here, there」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年7月15日(水)~8月2日(日) 1F main + 2F salon
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
水面を境に、水面に映る景色と現実の景色の対比を逆転させて描くことを試みている。作家の描く「世界」は、必ずしも劇的な変化が起こる類いのものではない。だがたゆたう水のように、「世界」のゆるやかな変質を私たちに見せることになるはずだ。


足田 メロウ 展 「風と景色 ~Planetica #4~」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年7月15日(水)~8月2日(日) 3F mini gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
 「風と景色 ~Planetica #4~」は足田が詩人・カワグチタケシの「Planetica(惑星儀)」から着想を得た作品を発表するシリーズの四度目である。新しいビジョンが開けていき、イメージが更新されていく。今はまだ、その途中を素描するに留めたい。


小倉 正志 展 「21世紀都市」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年6月24日(水)~7月12日(日) 1F main + 2F salon
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
描かれる都市の、高層ビルはまるでそれ自体生命体であるかのように地上から隆起し画面内を動き回り、一方で人間は星形の記号と化し、上空から降り注ぐ。ビルの林立する都市風景ではなく、作家の都市観が大きく反映されたものにほかならない。


西川 茂 展 「interlude」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年6月24日(水)~7月12日(日) 3F mini gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
茫漠とした画面に引かれる一本の水平線が作り出す広大な空間と、その中の両端にほぼ同一のサイズで描かれる、しかし現実には同じサイズではあり得ないヘリコプターとトンボ。空間の使い方及びモチーフは、近年の作品を特徴づける要素である。


冬 耳 展 「夢中でジャーニー」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年6月3日(水)~6月21日(日) 1F main + 2F salon
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
原色の多用による強烈な色彩からまずその色に目が向くが、作品は形態や構図、イメージの妙にも注目すべき点がある。それぞれの雰囲気は過激なものから暖かみのあるもの、爽やかなものなど、対象を掴み取る感覚の自由さを窺い知ることができる。


飯田 真人 展 「NEW MODEL EXHIBITION」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年6月3日(水)~6月21日(日) 3F mini gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
近代の画家にとって写真の発明が大きな転換点だったように、彫刻家、立体造形作家たちにとって、精密機械からスペースシャトルまでをも製造可能な現代の科学技術が、その制作にどれほどの影響を与えているのか考えずにはいられない。


入谷 葉子 展 「お山の家」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年5月13日(水)~5月31日(日) 1F main + 2F salon
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
アメリカはサンフォード製の、プリズマカラーという油性の色鉛筆。入谷葉子が制作に用いる画材である。色の有無によって別の色鉛筆を使うこともあるが、小品から縦二メートルを超える巨大な作品まで、入谷は基本的にその色鉛筆を使っている。


櫻井 智子 展 「わらべの目」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年5月13日(水)~5月31日(日) 3F mini gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
江戸時代に流行した博物図譜は今で言う図鑑のようなものだが、動植物や魚介類、昆虫類といった生き物だけではなく道具類や妖怪などの姿形を描き出しているものまであり、私にとって非常に興味深いものである。現代の図鑑と大きく異なるのは、そこで用いられている図が写真ではなく絵画であるという点だ。


塩賀 史子 展 「残像の楽園」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年4月15日(水)~5月10日(日) 1F main + 2F salon
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
一階に新作を、二階に旧作を並べるという展示構成から明らかになったのは、塩賀史子の作品の変化である。つまり、旧作の特徴として写実性や光と影の強いコントラストを挙げることができようが、新作ではむしろそういった要素は息を潜め、塩賀の焦点は光を描くことに合わせられている。


稲富 淳輔 展 「アンジェリコの鍵盤」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年4月15日(水)~5月10日(日) 3F mini gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
稲富淳輔の制作の関心はどこに向けられているか?おそらく、〈存在を立ち上げること〉に向けられている。稲富が作り出す作品がうつわであるかオブジェであるか、という分類は意味がない。合理的であり私もそうした分類を用いることもあるが、そういうものを超えたところを目指している。


寺島 みどり 展 「見えていた風景 - 空 - 」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年3月25日(水)~4月12日(日) 1F main + 2F salon
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
本展は「見えていた風景‐空‐」と題されているように、「風景」、とりわけ「空」をテーマにしたものである。とは言ってもそれが一般的な風景や空でないことは展示作品を一瞥すれば、そしてそもそも展覧会タイトルに「見えていた」と冠していることから明らかだろう。


齋藤 周 展 「春を兆す日」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年3月25日(水)~4月12日(日) 3F mini gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
カンヴァスの貼られていない木製パネルに直接アクリルで色がのせられている。縁に地の色が見えているものもあるが、基本的に下地は白である。黄色を中心とした発色のよい色彩からなる画面はあたかもパズルのピースを繋げるように壁面を構成している。


林 勇気 展 「afterglow」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年3月4日(水)~22日(日) 1F main + 2F salon
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
もやのような光に包まれて、人々は動き回り、色とりどりのオブジェは天井から降り注ぎ、積み重なり、 またたく間に消えてゆく。三枚のディスク毎に異なるサウンドが、一続きの室内で反響しながら互い に重なり溶け合っていく。そしてそれらの終わりのないループ、ループ、ループ。


金 理有 展 「臨界点」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年3月4日(水)~22日(日) 3F mini gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
《曜変天目茶碗》は漆黒の碗の中に星のような斑点が青白 く浮かび上がっているのが特徴で、それは私たちも日常視認できる夜空に煌めく星々や特殊な望遠鏡を用いて撮られた天文写真を思わせ、かつて人が掌の中に宇 宙を抱えていたことを想起させる。


大和 由佳 展 「存在の満ち欠け」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年2月7日(土)~3月1日(日) 1F + 2F & 3F gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
実在と不在。完全と欠落。接続と切断。神聖と不浄。こうした二項の間を往復し、作品化することが大和由佳の制作と言えるだろうか。「存在の満ち欠け」と題された個展ではその不断のやり取りが、インスタレーション・平面・立体と、様々に形を変え提示された。


大舩 真言 展 「Prism」 【開催を終えての再考論評】
会期 / 2009年1月10日(土)~2月1日(日) 1F + 2F & 3F gallery
執筆 / 小金沢智(neutron tokyo)
展覧会名の「Prism」からも明らかなように、neutron tokyoのオープニングを飾った大舩真言展のテーマは光である。元々個人の住居として使われていた建物をリノベーションした空間は、一階から三階まで、所々に外光が差し込む大きな窓や設えが施されている。


2011 Exhibition Review
・2011年展示再考論評

2010 Exhibition Review
・2010年展示再考論評

2009 Exhibition Review
・2009年展示再考論評



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